戊辰戦争研究会の掲示板



[3117] I 村上在郷気質ー梨 Name:村上久三郎 2018/05/30(水) 22:52 
 私の母の生家の近くに、梨の大きい木がある。樹齢、400年から500年と言われている。この梨の木は、ある家の所有であるが、近所の子供や奥さんたちは梨を拾うて食べた。私も子供のころ食べた。現代の梨と違い、大きさは直径2p位で小さいが独特の味がする。
 明治初頭、その木を面倒みていた方が「九郎」さんで、足の速い人だった。やがて徴兵制になり、九郎さんは仙台師団に入隊させられた。明治29年頃と思われる。師団長は長州や薩摩の方である。九郎さんは「ばかばかしい」と思ったようで、脱走して仙台から走って故郷に逃げてきた。逃げて村に来たところを警官に見つかったが、また逃げた。当時の警官も彼の足にはかなわない。村人が彼をかくまったのだろうか、彼の墓がある。私は毎年、お盆に彼のお墓参りをした。当時、全国的に軍に心酔した人は多い。全国で脱走した人は九郎さん一人かもしれない。私は彼が脱走して走っている絵を描いた。
 ある年、梨を拾いに成人の男衆も沢山ゆき、木の下を荒らしたそうだ。所有者が立札を立てた。翌日、所有者のおじいさんがそこへ行ってみると、もう一つの立札が立ってあった。それを読んで、所有者は、にこり笑ったそうだ。何が書かれているかを私の絵に描く。この梨を今年は食べて見ようと思っている。想像であるが「本庄繁長公も食べた梨」と思うと、歴史を感じる梨でもある。
 九郎さんが亡くなり、その後、私の母が生まれた。明治少女の母は学校で軍歌を習った。私は当時の明治少女気質を母から聞いた。薩長が興した大日本帝国が滅亡することは、九郎さんや明治少女達が明治時代に予測していたのである。自給自足できる農民には官製情報に埋没しない人がいる。



  



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